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刺激により分泌される、新たな育毛タンパクを発見しました

富士産業、毛組織細胞への刺激により分泌される新たな育毛タンパクを発見
〜新たな育毛アプローチによる脱毛症に対する効果へ期待〜


 富士産業株式会社(本社:丸亀市、代表取締役:岡田篤典、以下「富士産業」)は、育毛専門医 桑名 隆一郎博士(桑名皮フ科院長)との共同研究により、新たな発毛のメカニズムとして、毛組織の細胞への一時的な刺激によって分泌されるタンパク質「CHI3-L1」および「CXCL5」が、発毛に関与していることを初めて発見しました。(図1)これらのタンパク質をターゲットとすることは、全く新たな育毛アプローチであり、今まで十分な効果が得られていなかった脱毛症患者に対して、有効である可能性が期待できます。本研究の成果の一部は、第29回 毛髪科学研究会(2021年12月11日開催)にて発表いたしました。


ダメージ刺激により、細胞の増殖を促進。新たな育毛タンパク質の発見へ

 脳や筋肉、皮膚などで、一時的な刺激を与えることにより活性化することが報告されています。「毛髪においても、同じ現象が起こるのでは?」と考え、富士産業は刺激と発毛に関する研究に着手しました。
 毛乳頭細胞は毛根部に存在する細胞であり、様々なタンパク質を分泌することで、発毛をコントロールしていることが知られています。この毛乳頭細胞に過度なダメージ刺激を一時的に与え、その後正常な条件で細胞を培養し、細胞の自己回復を促しました。このダメージ回復毛乳頭細胞を研究した結果、発毛に関連する毛包細胞の増殖を約2倍に促進していることを明らかにしました(図2)。

 次に、刺激によりどのような変化が細胞内で起こっているかを遺伝子の発現変動により解析しました。約6万種の遺伝子の変動を解析した結果、60種以上の遺伝子発現が変化していたことがわかりました。これらの候補遺伝子について研究を進め、「CHI3-L1」と「CXCL5」が細胞の増殖を促すタンパク質であることを新たに見出しました。CHI3-L1は体内の炎症反応、CXCL5は免疫反応に関する働きがあることは既に解明されていますが、発毛とも関連していることを今回、富士産業が初めて明らかとしました。

育毛タンパク「CHI3-L1」と「CXCL5」は発毛、脱毛症と関係

 毛包細胞を増殖させるCHI3-L1とCXCL5が、生体内でどのような働きをするのかを、マウスを用いて検証しました。毛組織は、毛が成長する「成長期」と、成長を止めて休む「休止期」が繰り返される器官です。毛が抜けても、新しい毛が再び生えてくるのはこのサイクルのおかげです。成長期と休止期の状態のマウスの皮膚中のタンパク質の分泌量を調べてみると、休止期から成長期に切り替わる際、つまりは、新しい毛が発毛するときに、CHI3-L1とCXCL5の分泌量が増加していることがわかりました。(図3)

 一方、脱毛症の方ではCHI3-L1とCXCL5の分泌量はどうなっているのかを確認するため、ホルモン量を調整した脱毛症モデルマウスを用いて皮膚中の分泌量を調べました。その結果、AGA(男性型脱毛症)モデルマウスとFAGA(女性型脱毛症)モデルマウスでは、CHI3-L1とCXCL5の分泌量が大きく減少していることがわかりました。(図4)


今後の展望;新たな育毛アプローチによる脱毛症に対する効果へ期待

 本研究では、CHI3-L1とCXCL5が発毛や脱毛症と深く関わっていることを初めて明らかにしました。CHI3-L1またはCXCL5は新たな育毛メカニズムの可能性を秘めており、従来の育毛剤では効果が不十分な症例においても、効果を発揮する可能性が期待されます。
 富士産業は、発毛分野の研究に30年以上注力しており、自然素材の機能性を活かした女性用育毛剤「薬用リリィジュ」を自社通販サイト(ウェルベスト)を通して提供しております。今後も女性用育毛剤のパイオニアとして、育毛分野における更なる研究を進めることにより、生活者の健康と美の悩みに応えてまいります。

以上

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